頭金をいくらいれるべきか

インターネット検索すると出てくる、よくある住宅購入相談の中に

「頭金っていくら入れるもの?」
「住宅ローン控除と頭金のどちらを優先すべき?」

という質問がみられます。

私もハウスメーカー時代には本当によく聞かれた質問のひとつです。

ハウスメーカーの営業マンからすれば、
「無理がない範囲で多く」入れてもらった方が良いでしょう。

ただ、FPという立場で同じ答えを言うかというと、答えはNOです。

頭金を入れるメリット

頭金について、一般的な平均では「購入価格の2割程度」と言われているそうです。

確かに、頭金を入れることのメリットはいくつかあります。

このあたりのメリットはインターネットで検索すればいくらでもヒットしますので、ここでは簡単に留めます。

借入金利の問題

頭金の金額によって借入金利が変わることがあります。
たとえばフラット35の場合ですと、融資率が9割を超えるか否かで、0.2%〜0.3%程度金利に差が出ます。

【参考】住宅金融支援機構 フラット35金利情報

利息軽減効果

頭金を多く入れることで借入金額が減少し、その結果住宅ローン利息が軽減します。
ただし、その分住宅ローン控除の上限額が下がりますのでご注意ください。
※ご年収によっては上限額が下がったとしても全く影響のない場合もあります。

なぜ住宅営業は、頭金を多く入れて欲しいのか

多くの住宅営業マンは、頭金が少ないよりも多く入れて欲しいものだと思います。
私が思うに、理由は2つあります。

ひとつ目は自分のメーカーの予算までは借入が難しいお客様を、商談にあげるためです。

仮にAさんというお客様がいたとして、住宅ローンの仮審査をしたところ、銀行からMAX3500万円まで借入可能と回答があったとします。
ここでハウスメーカー営業のBさんは思うわけです。
「ウチで建てるには少なくとも4000万円はいるよなぁ・・・」と。

借入額が増やせないなら、自己資金を投入してもらうしかありません。
中には収入合算やペアローンという手で借入額を増やす提案をする営業マンもいらっしゃいますが。

これは決して倫理に反することをしているわけではなく、住宅営業というビジネスである以上、仕方がないとは思いますし、お客様も自己資金を投入しても良いのでこの家が欲しい!と思っているならそれはそれで尊重すべき判断です。

そして、ふたつ目は建築総費用が上がるためです。

住宅営業マンの多くは歩合制です。
邪推かもしれませんが、同じ1件ならば、単価が安いよりも高い方が嬉しいのではないでしょうか。
もちろん、あなたの営業担当が自分自身の手取りを上げるために無闇に単価を上げている、というわけでは一切ありませんし、その意図もありません。
ただ、仕組みの一つとしてそうなっており、中には自分本意な営業マンもいる可能性があるという知識を持っておくのは大切です。

それで、結局はいくら入れるのが”正しい?”

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

では、頭金はいくら入れるのがベストなのでしょう?

「購入価格の2割?」

「無理ない範囲で入れれるだけ?」

「住宅ローン控除で損しない金額までいっぱいいっぱい投入?」

「今は金利が低いから、頭金ゼロ?」

すいません。

私の考えでは、『全部正しくて、全部間違い』です。

なぜ正しいか?
購入される方がご自身の選択に納得し、その先後悔がないのであれば、どの選択肢も正解になり得ます。

なぜ間違いか?
未来のことを考えていないからです。

今手元にある預貯金を、頭金として投入することは簡単です。
住宅メーカーや不動産屋さんに指定された口座に振り込むだけですからね。

ですが少し考えてみてください。

ここで入れた現金(頭金)って、あとから取り戻せますか?

例えば、

数年後にお子様が私立の中学校に通うようになり、予定より多くの現金が必要になった
突然車が故障し、予定より早く買い替えなければいけなくなった
兄弟が海外挙式することになり、突然家族全員分の旅費を用意しなければいけなくなった
ガンに罹患してしまい、治療費として現金が必要になった

など、予想していない支出が発生した場合、もし手元に現金がなければどうしましょうか?

住宅購入は大きなお金が動きます。

ゆえに、その先の計画を立てたうえで「お金の戦略」を組んでおくのが安心なのではないでしょうか。

住宅ローンは上手に組むことができれば、非常に有意義です。
しかし、組み方を間違えると「思ってもみなかった」ことになりかねません。
ぜひ頭金を支払う前に、その後の人生を見える化されることをおすすめします。

最後に

私のところに寄せられるご相談で、

「ハウスメーカー営業から紹介されたFPにライフプランを組んでもらったんですけど、これは信用できるものなのでしょうか?」
というライフプランのセカンドオピニオンのご依頼は、実は少なくありません。

正直に申し上げると、「すごく細かく計算してあって、数字の大きなズレもないので安心して良さそうですよ」というパターンと、「それは流石にちょっと楽観的に、買わせるためにプランニングしてない?」というパターンがあるのが事実です。

なんとなく違和感があるからこうしてセカンドオピニオンをご依頼いただくのでしょうが、あなたはどちらのプランニングになっているでしょうか?

もしご自身の住宅購入計画に不安があるならば、可能であれば、”不安を抱えたまま頭金を入れる前”にご連絡ください。

土地の探し方【入門編】

「家を建てたい!」と思ったそこのあなた。

まずは何から始めますか?

東海県内は関東や関西に比べて一戸建ての割合が多いため、ほとんどの方はまずは住宅展示場に行くかと思います。

その後ほとんどの住宅営業マンからこう聞かれるでしょう

「土地のご用意はありますか?」

当たり前ですが、住宅を建てるには土地が必要です。

ここでは一般の方が土地探しをするうえでの注意を、いくつかご紹介させていただきます。

 

土地はどこで探す?

土地を見つける方法はいくつもあります。
・ハウスメーカーに探してもらう
・不動産屋さんに行く
・ネットで探す
・知人から情報をもらう

などなど、どれが正解ということはありません。

それではいくつか注意点を。

 

ハウスメーカーに探してもらう場合

ハウスメーカーの人に探してもらいった土地を購入するならば、基本的にはそのメーカーで建物を建築する必要があります。
※強制力があるものではありませんが・・・。

住宅営業の仕事は「住宅の請負契約を受注」することです。
そのためにはお客様が納得でき、かつ予算内で自社も建築可能な土地を精一杯探してくれるでしょう。

ですから予算がしっかり決まっており、建築メーカーも決定しているなら、ハウスメーカーで紹介してもらうのが一番手っ取り早いです。

ただし住宅営業マンもボランティアではありません。
大人をタダで勤務時間内に動かした以上、情報だけ貰って他の建築メーカで建てるなんてことはやめてあげてください。私からのお願いです。

ここでポイントなのが、予算内で自社も建築可能な土地という部分です。
あなたは土地と建物のどちらが優先順位が高いですか?
また、全体の予算は決まっていますか?いくら借入しますか?
それによってハウスメーカーに依頼した方が良いかがどうかが決まります。

 

不動産屋で探してもらう場合

不動産屋さんには2種類あります。
ひとつはチェーン店、そしてもうひとつは個人店です。

チェーン店について
ケイン・○スギさんがCMをやっていたり、店舗数も多いので比較的入りやすいのではないでしょうか。物件数も網羅されています。

個人店について
地元に古くから根付いていることが多いため、個人店自身が売主となったり、市場にあまり出回っていない物件が見つかる可能性があります。
店構えによりますが、少し入りづらいかもしれません笑

これについてもどちらが良い悪いはありません。

ただ、全体の予算などが決まっていないと
「気に入った土地を買ったあまり予算オーバーになってしまい、建てたいメーカーを諦めなくてはいけなくなった」

ということや、

「購入した土地では、そもそも建てたいメーカーが建てられなかった」
なんてことも起こりえます。

 

ネットで探す場合

朝でも夜でも自宅にいながら探すことができるため、手軽です。

サイトを見ていると、なにやら良さそうな土地が相場より安めに出ていることがあります。

ハイ、注意です。相場より安い場合には、かならず理由があります。

①建築条件付
その土地を買う方は、かならず指定のメーカーで建ててくださいねという土地。ハウスメーカー自身が売主になっていることが多い。
相場より割安なことが多いが、その分建築費で上乗せになっている可能性も。

②そもそも建てられない
建てられそうなのに、建てられない土地もあります。代表的な例で言えば都市計画の”市街化調整区域”です。
簡単に言うと魅力的な街づくりのために、建築物を建てずに農地や自然を残しましょうねという地域です。

いろいろと抜け道はあるのですが、”原則”新築の建築は不可です。

③造成費にお金がかかる
造成費とは「家を建てられる状態にするためにかかる費用」のことをいいます。
例えば高低差が大きいために壁を作ったり、周囲にブロックを置いたり。
土地によって数100万円単位で差が出てくる部分です。

④その他の要因
その他にもまだまだあります。
土地の前の道路が狭くてトラックが入れないため小さいトラックにする手間賃、そもそも道路に水道の本管が来ていないので道路を止めて水道を引き込む工事、造成前が田んぼで地盤補強が必要、高い建物が建てられる地域で将来日当たりが悪くなるおそれがあるなどなど・・

 

まとめ

簡単に土地探しのはじめの一歩の注意点を書いてみました。

どの探し方でも良いのですが、全体の建築計画が成功するためには、FPとしては事前の予算づくりをおすすめしています。

岐阜県内であれば現場に一緒に出向いて、住宅のノウハウのある第三者の目線から事実をお伝えすることもできますので、ご興味があるかたはご連絡ください。