【FP通信】家計簿を“つけたまま”にしていませんか?を投稿しました
月: 2025年9月
家計簿を“つけたまま”にしていませんか?
「今年こそは家計簿をしっかりつけて、無駄遣いをなくそう」
そう思い立って、家計簿アプリを入れたり、ノートにレシートを貼り付けたりする方はとても多いものです。
ですが実際には、記録を続けているだけで満足してしまい、振り返りや改善にまでつなげられていない方が少なくありません。言い換えると、家計簿が“記録帳”になってしまい、未来に活かす「経営資料」になっていないケースが非常に多いのです。
もちろん、支出を記録すること自体は素晴らしい第一歩です。ただし、そこから「どう活かすか」で家計の将来は大きく変わります。
記録から得られるものは「傾向の把握」
家計簿をつける意義の一つは、過去の支出を可視化することです。
たとえば、春は引っ越しや入学準備で出費が膨らむ、夏は旅行やレジャー費、秋は冠婚葬祭、冬はボーナスに合わせて大きな買い物やイベントが増える……。こうした季節性やイベント性のある支出傾向が見えてきます。
ここで重要なのは、ただ「支出が多かった」と眺めるのではなく、いつ・どのくらい・なぜ使ったのかを把握することです。これにより、「支出が増える時期に備えてあらかじめ準備する」という次のステップに進むことができます。
記録の先に必要なのは「予算設計」
傾向を把握できたら、次にすべきは予算を組むことです。
収入の範囲内で、生活費・教育費・趣味娯楽費・貯蓄などをどのように振り分けるかを具体的に考えます。
ここで大切なのは、調整可能な支出と調整が難しい支出を分けて考えることです。
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調整が難しいもの:住宅ローンや家賃、保険料、通信費、光熱費の基本料金など
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調整が可能なもの:食費、交際費、被服費、娯楽費など
この区別をするだけでも「どこから手をつければいいのか」が明確になります。つまり、固定費を把握して“動かしにくい部分”を確認し、残りの変動費の中で調整を行うという流れです。
家計管理に必要な「PDCAサイクル」
企業経営でよく使われる PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善) は、家計管理にもそのまま応用できます。
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計画(Plan):月々の収入を前提に予算を組み立てる
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実行(Do):予算に沿って日々の支出をコントロールする
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評価(Check):月末に実績と予算を比較する
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改善(Act):次月に向けて配分を見直す
これを繰り返すことで、家計は徐々に整っていきます。
「パーキンソンの第2法則」と仕組みづくりの重要性
ただし、ここで人間の心理的な落とし穴にも触れておきましょう。
「パーキンソンの第2法則」とは、「支出は収入の増加に応じて膨張する」というものです。つまり、口座にお金があるとつい使ってしまう。これは多くの人に当てはまる性質です。
そのため、意思の力に頼るのではなく、仕組みでコントロールすることが極めて重要です。
具体的には「先取り貯蓄」の実践です。
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毎月自動で引き落とされる積立NISAやiDeCo
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給与天引きの財形貯蓄制度
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銀行口座の自動振替サービスで、先に貯蓄口座に資金を移す
こうした仕組みを活用すれば、余ったら貯めるのではなく、「最初から強制的に貯める」ことができます。これにより、残りの資金でやりくりせざるを得なくなり、自然と無駄遣いが抑えられていきます。
まとめ:家計簿を「未来の設計図」に変える
家計簿は「つける」こと自体に意味があるのではなく、振り返り・予算設計・仕組みづくりへとつなげて初めて価値を発揮します。
記録 → 傾向の把握 → 予算設計 → 実行 → 振り返り → 改善
この循環を続けることで、家計はまるで企業の経営計画のように、安定感を増していきます。
もし今、
「家計簿はつけているけれど、改善にはつながっていない」
「予算を立てても続かない」
「仕組みづくりを始めたいけれど、自分に合った方法が分からない」
と感じているなら、ファイナンシャルプランナーにご相談いただくのが近道です。
一人ひとりのライフプランに合わせて、無理なく実践できる家計改善の仕組みを一緒に考えていくことができます。
“記録するだけの家計簿”を“未来をつくる家計管理”へ。ぜひ専門家と一緒に、その第一歩を踏み出してみませんか。