必読!相続発生時の保険金請求漏れ対策
2024年10月24日

はじめに

生命保険文化センターの2022年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険に加入している人は、男性では77.6%、女性では81.5%となっています。
出典:(公財)生命保険文化センター ホームページ「生命保険に加入している人はどれくらい?」から引用

上記の引用にもあるとおり、日本人の多くは“何かしら”の保険に加入しています。
また、その保険についてご自身の加入内容はある程度把握されている方が多いのではないでしょうか。

では、例えば親御様や配偶者様がどのような保険に加入されているかご存知ですか?

悲しいですが人はいつか亡くなります。
その際に請求漏れをしないようにするためにも、このFP通信を記憶の片隅にでも留めていただけると嬉しく思います。

 

請求漏れ対策の順序

ご相続が発生した場合、生命保険の請求漏れを防ぐためにまずできることは、
・生命保険証券を探す
・生命保険会社から定期的に送付される通知物を探す
・預金通帳の保険料の口座振替履歴等を確認する
などが挙げられます。
分かる範囲で保険契約の有無をご確認してみてください。

ただ、紙の証券は紛失しがちで、お手元にないケースもよく見受けられます。
また近年の自然災害の増加により災害などで焼失、滅失してしまうことも無いとも言い切れません。
保険料もずっと過去に払込終了していることもよくあります。

「これが本当に加入していた保険の全てなのかな・・・」

そんな疑問がある場合には、生命保険契約照会制度を是非ご活用してみてください。

 

生命保険契約者照会制度とは?

【制度の概要】
ご親族等が死亡もしくは認知判断能力が低下した場合に、ご家族の代表者が照会申込をすることで、一般社団法人生命保険協会が一括窓口となり、各保険会社に契約有無の照会をしてくれるという制度です。

現在金融庁の認可を受けた生命保険会社は41社ありますが、そのすべてにおいて子の照会制度を活用することができます。
そのため、これまで契約の有無が不明な場合には1社ずつ問い合わせ対応が必要だったものが一括で完了し、大幅に手間が省けるようになりました。

【注意点】
このように非常に便利な制度ですが、原則として法務局に認証された法定相続情報一覧図が必要など書類の段取りにやや手間がかかる点に注意が必要です。

 

事前にしておくべきこと

上記の照会制度は確かに画期的です。
ただ、そもそも「照会せざるを得ない状況」にならなければ、それに越したことはありません。

生命保険業界では“万が一”というワードをよく耳にしますが、それがいつ来るかは誰にもわかりません。
ですから、“いつ何があっても困らないように”ぜひ事前準備をしておいてください。

【事前準備の一例】
①保険証券をホルダーに入れてひとまとめにしておく

一番お手軽です。
保険証券は紛失されている方もよくお見受けしますが、代理店もしくは保険会社に連絡すれば無料で再発行が可能です。
まとめてさえいれば具体的な保障内容を生前に共有する必要はありませんし、保険の見直しの際にも便利です。

②保険の担当者を家族にも共有しておく
仮に証券が無くても、保険の担当者がいらっしゃれば、その方が保障内容など全て把握していることが多いです。
実際の保険金支払い時にも保険担当者に連絡すると手続きがスムーズですから、事前に担当者情報をご家族で共有しておかれると良いと思います。
※複数の担当がいる場合や、その方が転勤や離職などもあり得るため、常に最新情報にメンテナンスが必要であることには注意が必要です。

③保険の一覧を作成しておく
詳しい内容でなくても大丈夫です。
・保険会社名
・加入している保険の種類(死亡、入院などだけでも)
・証券番号
・担当者がいる場合には名前と連絡先
などを手書きでも良いので一覧にまとめておくと、遺された方が大変助かると思います。
もし手書きが手間であれば、口頭でも大丈夫ですので手続きされる方にお伝えしておいてあげてください。
また、もし親御様がいらっしゃるならば、お元気なうちに「どんな保険に加入しているか」ご家族でお話してみてください。

 

まとめ

「いつ発生するか分からない」ものにかけるものが生命保険です。
その「いつか」は多くの場合は遠い未来だと思っていらっしゃる方が多いです(実際に私もまだまだ長生きするつもりです)し、おそらくきっとそうであるとも思います。

ただ、厚生労働省の調べによると、65歳まで生存する者の割合が男は89.8%、女は94.6%だそうです。
つまり、65歳で同窓会を開いたら、30人クラスのうち3人くらいは他界されて参加できないということになります。
そして、その3人は誰なのかは誰にも分かりません。

上記の事前対策なら、10分もあれば実施できると思います。
ご負担の少ない範囲で構いませんので、事前準備をしておいていただけると幸いです。

「いつか」の際にせっかくの保険がきちんとお届けできますように。